再生医療(PRP療法)について

再生医療(PRP療法)について

再生医療とは、怪我や病気などによって失ってしまった機能を、薬で治療するのではなく、人の体の「再生する力」を利用して元通りに戻すことを目指す医療です。再生医療は、安全性の確保及び生命倫理への配慮のため、日本国内において厚生労働省に届出が受理された施設および登録された医師に限り実施することができ、当院は2022年1月に認可を受け、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に準じた安全性が確認された方法で、再生医療を実施しております。 
当院で提供する再生医療は、PRP(Platelet Rich Plasma)療法=多血小板血漿療法です。PRP療法は、患者様ご自身から採血した血液を遠心分離し、精製したPRPを患部に注射し、治療を行います。PRPは、全血を遠心分離して得られる血小板を多量に含む血漿分画で、その中のさまざまな成長因子や抗炎症性サイトカイン等により、組織修復や抗炎症作用が期待できます。PRPには調整法によりいくつか種類があり、その中でも次世代PRPと言われるAPS(Autologous Protein Solution)(Zimmer-Biomet社)は、全血より遠心分離し作成したPRPに対し、さらに脱水精製処置を行い作成します。従来のPRPに比べて非常に豊富な抗炎症サイトカインが含まれ、関節内の炎症を抑えることで疼痛を緩和すると言われています。
再生医療(PRP療法)
現在、PRP療法は有名なスポーツ選手だけではなく、種々の運動器外傷・障害・変性疾患に対して広くおこなわれております。特に変形性膝関節症に対しては、海外において安全性と有効性を示す論文が次々に報告され、保存療法を行っても満足できる効果が得られなかった患者様にとって手術以外の第3の治療法として期待が高まっております。そのため、これまでの保存療法で十分な効果が得られず、手術を勧められているが、できれば回避されたい方や仕事などで入院ができないような患者様にとって良い選択肢となる可能性があります。

PRP療法の長所

  • 合併症が少ない(ご自身の血液から抽出するため、薬のような副作用がでにくい)
  • 手術と比べて侵襲が少ない(採血での注射と患部への注射のみ)
  • 実施後の活動制限が少ない(外来加療)

PRP療法の短所

  • 治療効果が乏しい方、認められない方がいる
  • 実施後の数日間、注射部の痛み・腫れ・熱感・発赤などを伴うことがある
  • 自由診療のため、費用が高額である

適応

これまで鎮痛薬、外用薬、ヒアルロン酸注射等の保存療法を行ってきたが、治療反応が乏しい下記の疾患の方

  • 変形性膝関節症
  • 肩腱板損傷
  • 変形性肩関節症
  • 変形性股関節症など

除外基準

以下に該当する者は本治療の対象外となります。

  • 活動性の感染を有する
  • 1ヵ月以内に本治療を受けたことがある
  • 重篤な合併症(心疾患、肺疾患、肝疾患、腎疾患、出血傾向、コントロール不良な糖尿病および高血圧症など)を有する
  • ACD-A液に対する薬剤過敏症の既往歴を有するなど

その他、治療を受ける者の健康状態、身体的条件を勘案し、本治療を実施する担当医師が不適当と判断した場合にも、治療を受けられない可能性があります。

PRP療法の種類

PRP療法には、幾つかの種類があり、種類によって若干成分が異なったり製法が異なったりします。当院では治療の目的によって、以下の2種類のキット(GPSⅢシステム、APSキット)を使い分けています。GPSⅢシステムは、血液を遠心分離し抽出した多血小板血漿(PRP)です。主に関節外の疾患(肩関節腱板損傷など)に使用致します。APSキットは全血より遠心分離し作成したPRPに対し、さらに脱水精製処置を行い作成したものです。主に変形性膝関節症などの関節内疾患に使用致します。

GPSⅢシステム
(ジンマーバイオメット社)

※国内でクラスⅢ医療機器として認証済

GPSⅢ精製手順

GPSⅢシステム(ジンマーバイオメット社)

APSキット
(ジンマーバイオメット社)

※国内でクラスⅢ医療機器として認証済

APS精製手順

APSキット(ジンマーバイオメット社)